今年は、なかなか梅雨が明けず、いったいいつ出発できるのか、
はらはらし通しの毎日だった。
毎日天気予報を見、週間天気を見て、
あの梅雨前線はいつ日本の上から無くなるのかと気をもむ毎日だった。
予定では21日夜出発だったが、22日は雨マーク。
天候を見ながら1日ずらし2日ずらしのつもりだったが、
22日夜7時の天気予報を見ると突然!明日からの晴れマーク。
すぐリーダーと連絡を取り、これから食料を買いに行くことにして、
出発を今日の夜と決めた。
まだ4時間ある。
生鮮食糧品以外は午前中に買ってあったので、(虫の知らせ?)
行動食と2日分の夕食材料を買いに。
まだ店の開いている名鉄に出かけた。
パッキング・野菜洗い・おにぎり作りとてきぱき片付け
お風呂にも入って12時頃家を出た。
多治見駅、0:35発。
打ち合わせでは、「列車の後ろの方」だったが、後ろは寝台車。
自由席を探すこともできず、後ろから3両目の指定席に潜り込んだ。
途中検札も無く、ゆったりと松本まで。そこで合流。
乗り換えて信濃大町へ。5:05着
女子大生2人とタクシー相乗りで、爺ケ岳登山口へ。5:10駅発。
寒い。
腹ごしらえをしてトイレも済まし、柏原新道(爺ケ岳)登山口、6:03発。
ここも久しぶりの青空だそうで、天候判断が良かったことを喜び合う。
二人とも新しいザック。私の方がやや大きい。
食料を入れようとしたら小さいザックでは無理だった。
重い! 17kgほど。
もみじ坂をまた登れるとは感慨深い。
針ノ木雪渓は今年は小さく細い。
長雨のせいかも・・・と話し合う。
ストックを使うと登りの踏ん張りが和らぐことに気づいた。
すぐ暑くなり、汗がポトポトと滴り落ちる。
今回レンズを忘れてしまったので眼鏡越しの景色になる。
遠くに焦点が合わせてあるからか、足元がイマイチはっきりしないし
傍らの一草一木も焦点が合わず不便。
汗でずり落ちてくる眼鏡を何度も直さなければならないし、
目の中に汗が入り滲みる。(だんだん慣れてはきたが)
6:30〜6:46、オレンジ休憩。
樹林を抜けると左側に雪渓のある稜線が見えた。
確かここから種池山荘が見えたはず・・・と思い出しながら緩く登る。
ゴゼンタチバナ・ツマトリソウの咲く下刈りされた道。
遠くに見える雪渓とそこを横切る道・稜線上の山荘・
蓮華の堂々とした山容などを見上げながら石畳の道を歩く。
休憩、8:30〜8:35。
7人グループの中高年グループと抜きつ抜かれながら登る。
とてもゆっくりではあるが確実に高度を稼ぐ歩き方である。
ガイド付きかも・・・と話し合う。
(このパーティーは冷池に荷物を置き、空身で鹿島槍を往復してきたことが分かった。
我々の夕食後帰還)
二つ目の雪渓の手前でシラネアオイの花を見つけカメラを取り出す。
そのすぐあと見事な群落を発見。
種池山荘へ行く途中、初めて見たシラネアオイ
しかし7人パーティーは止まりもせず目もくれずに通過。
あんな山行したくないね・・・と言い合う。
急な登りの手前で休憩。9:25〜9:30。
モーターの音が聞こえ出してから10分だったと思い出しながら
最後の登りを我慢する。
山荘前はお花畑のはずが、コバイケイソウはまだ蕾がちらほら。
コイワカガミが少々といった有様でがっくり。
低温と長雨の影響かも。
9:55〜10:20、立山の見える所で休憩。
あまりの暑さで傘を取り出す。
じりじりと焼けそうで長袖を着こむ。
計画ではここで1泊だったが、夜行で来たおかげでまだ10時。
次の冷池まで2時間で行けるのだから十分のゆとり。
爺ケ岳もこれで2回目。
40分我慢すれば頂上。
南峰に11:05〜11:25。ぐるり360度の展望。
爺ケ岳山頂
信州側から登ってくるガスも、黒部側までは来れず、
見事に稜線で分かれている。
風が強く寒い。
後は下りだけ。
中央峰の登り口からは初めてのコース。期待が膨らむ。
ぐるりと回りこむように下って行く。
左下には一条の白い筋。
雪かと思うほどの白さだが雪であるわけがない。
飛沫をあげて流れているからではないか・・・とリーダー。
黒部川の源流。
「赤岩尾根」と名前が付くほどの赤い岩屑の道を下り
樹林の中を一登りして冷池山荘に12:55着。
手続きを済ませビールの大缶で乾杯。
外はジリジリなので談話室で。
先客1人。
お・い・し・い〜
昼食に夕食を、夕食に明日の夕食を・・・とか、
夕食を頼むことにしようかとか考えながら
イワシのかば焼きをつまみに飲む。
そして昼寝。
明るい風通しのいい部屋で寝転がる。
寒いなと思いながらもうとうとする
部屋を変えてリーダーはまた一寝入り。
私は談話室で花の図鑑調べ。
冷池山荘をバックに
おなかが空いたのでいよいよ夕食作り。4:30頃。
野菜いっぱいのマーボー野菜とビールの小缶を半分ずつ。
夕方になりガスが出て、虹の真ん中に私の影。ブロッケン〜
そのまま待っていると、さあ〜っとガスが晴れ、
今まで見えなかった鹿島槍が見え始めた!
7時前の天気予報を見て(晴れ・暑い)就寝。
頭が廊下の方を向いているので戸を閉める。
夜中暑いので戸を開けたら、トイレの臭いがきつい。
ここのトイレは虫ぶんぶん。
同じ部屋の女性2人パーティーは、1人が足が攣ったため遅くなったとのこと。(五竜山荘まで一緒)
【その他に、出会った花】
ネバリノギラン・タカネスミレ・キバナコマノツメ・アオノツガザクラ・オオバキスミレ・コケモモミヤマクワガタ・アカモノ・ハクサンシャクナゲ・チングルマ・ショウジョウバカマ・ハクサンチドリ・ベニバナイチゴ
4:00起床。4:45出発。日の出前。
テント場を過ぎると、雪解けの終わったばかりのお花畑がある。
ここでもシラネアオイの群落。
それと、シナノキンバイ・ハクサンイチゲ・ショウジョウバカマ。
尾根へ出た所、遭難碑のある所で風を避けて休憩。5:15〜5:20.。
昨日の爺ケ岳への登りのような斜面を登って布引岳、5:50着。
ぐるりがよく見える。種池も爺も冷池も立山も。
布引岳山頂にて
少し降りて風を避け、朝食とする。
パン・ミルク・チーズ・トマト・きゅうり。
片付け始める所へ1パーティー。6:35発。
先を譲ったが、また先を譲られて先を歩く。
ストックを使うと登りの踏ん張りがきき歩きやすい。
追いつかれることなく鹿島槍南峰に7:45着。
リンゴジュース・ミカンがおいしい。
鹿島槍南峰
富士山も八ツもぐるりと見える。7:55発。
鹿島槍から見た冷池山荘と爺ケ岳
ここからが難度の高い縦走となる。
南峰を降りるのにひどいザレ場で、一瞬こんな道間違いではと思うほど。
ペンキの×を確認したはずなのにそちらの方かもと思ってしまうほど。
引き返してペンキを確認してやっぱりこのザレ場しかない。
2人パーティーが降りてきたので確信。
ストックを片付け覚悟を決めて降り始める。
急斜面のザレ場で足元がしっかりしない。
ざらざらっと滑り落ちていく小石とともに滑り落ちそうで怖い。
ものの5分くらいだが、切り立っている急斜面をトラバースして
やっと足元がしっかりしている岩稜に出て、ほっ。
狭い釣り尾根を注意深く登り降りして北峰への分岐に出る。
空身で北峰頂上へ。8:20〜8:28。
ここでぐるり360度が見渡せる。
今下りてきた南峰からの急な稜線と、真ん前に聳える北峰の頂上。
それとその足元にある雪田。
分岐からキレット方面へ進む。
ここからキレット小屋までは少しも気の抜けない下り道となる。
鎖が度々現れ、下りも大変だが登りもまた大変。
その上足元は浮き石の多い落石危険地帯。
小屋の上あたりで休憩。9:15〜9:25.
女性1人追い抜き。昨日の同宿者。
もう1人の女性を置いて、遠くから「大丈夫〜」などと聞いているが
心配なら離れなければいいのに。
八峰キレットは鎖と針金・ザイルなどで頑丈にガードされた狭い岩道で
慎重に下って行けばさっきの南峰からの下りよりずっと安全。
狭い土地を十二分に利用して建ててある、
新しい居心地のよさそうなキレット小屋。10:00〜10:40。
水を100円で買って昼食。
パンとスキムミルク。
ここから五竜は、またまた鎖と梯子の連続で、
「もう岩はいいわ」・・・と思える所。
まず鎖、次に梯子、また鎖。
三段登りの鎖。
そして北尾根の頭。休憩。12:20〜12:35。
また、梯子・鎖、でG5。
正面に五竜が聳えているが、どこからどう登るのかわかりにくい。
ウルップソウの盛りを過ぎた花が咲いているあたりで、グエッグエッと奇妙な声。
ライチョウの親子。ここだけ緊張が解ける。
また鎖をたどって急なジグザグの岩場登り。
五竜岳頂上着、15:03〜15:10。
この間、2回休憩をとっているが、ザレ場のジグザグと、
「おなかが空きすぎて吐き気がする」という
リーダーの言葉が記憶に残っているだけ。
後は、「とにかくここから落ちたら助からんなあ」・・・という緊張の連続。
五竜の頂上は真っ白なガスで何も見えない。ここから40分で五竜山荘着の予定。
五竜岳山頂
常駐員の腕章をはめた2人組を先に通し、鎖場を降りる。
この下りも好きになれない。もう岩はいい。
天候が良ければ山荘を見ながら下りれるのだろうがガスで真っ白。
途中でまたライチョウの親子を見る。
こんなに下って明日の唐松はどうなるのだろうと
心配になるほど下って下ってやっと16:15山荘着。
11時間30分の行動時間。
宿泊手続きをして、ビール大で乾杯。
お・い・し・い〜
五竜山荘前から見た五竜岳
まだ、頂上はガスの中
水を貰って、ご飯・味噌汁・サラダを作る。
作りながらまたビール(小)
ここで飲み過ぎたのかリーダーの胃がおかしくなった。
ビールは雪渓の塊が浮かんでいる樽の中。
十分に食べ・飲んでイワカガミの部屋へ。
布団が湿っぽい。
半袖とズボンを脱いだら冷たくて鼻水が出る始末。
長袖を着、ズボンを穿いてやっと眠れた。
夜中「凄い星」の声を聞いたが朝までそのまま。
4:30起床。
自炊室へ水を汲みにいくと雨だれの音?
外へ出るとガスと雨。
朝食は自炊場で味噌汁・卵スープ・スキムミルクと水分をたっぷりとる。
行動用のお茶も沸かし、5:55発。
遠見尾根から下ることも考えたが、
前線のしっぽは遠ざかっているのだから・・・と踏んで唐松を目指す。
ところがこの道は下ってばかり。
いつかこの貸しを返さなければならないから嫌になる。
休憩6:50〜6:55.
下りに下っていよいよ登りに入る。
周りの景色は何も見えず。
先の見通しができず、ただただ下を向いて登るだけ。
休憩7:50〜8:00。岩場の下で。
岩場へ出て、また鎖場を何か所も通って(滑落注意の札)
唐松山荘に着。8:35〜8:45.。
南館と北館があって、
北館が営業できなくなっているとかで、超満員だったらしい。
集団登山もあって。
祖母谷への道も先日の大雨で通行不能。テント場も使用不可。
こんなガスでは頂上へ登っても仕方がないので通過。
後は下るだけ・・・と軽い気持ちだったが、考えていたより長かった。
すぐ集団登山の中学生の列に巻き込まれ、
145人と聞いては先頭へ出るのを諦め
休憩するのを待って先頭へ出ようと考える。
丸山ケルンで写真を撮っているのを見計らい
145人の前に出る。
雪渓では下からの集団登山。
シラネアオイのあたりでも下からの集団登山。
八方池へ下山の途中咲いていた
シラネアオイ
こりゃあ今日も超超満員になることは必至。
他人事ながら今日登って行く登山者の心配をする。
八方池ケルンで休憩。
ここは観光客の波。
多分下の池で休むだろうと踏んで、稜線で休憩。
ここまで来てビールが流れ出し、冷たいこと臭いこと。
(1日目からずっと持ち歩いていた)
店を広げて臭くないもの・濡れてないものを隔離する。
10:43〜11:15。
リフト乗り場までの遠いこと。
雪ならつるっつるっと早く歩けるのに今は岩ゴロゴロで歩き難い。
リフトに乗らず歩くことも考えたが、観光客に見下ろされては、「嫌!」
乗り物利用にする。
八方池山荘、12:00着。
230円・420円・860円で麓の町に到着。
タクシーで温泉へ。タクシーで駅へ。
白馬駅、14:14に乗車。
多治見に18:01着。
次の日から2〜3日顔が腫れ、ウィルス性の腫瘍がまたできた。
|